歯周病は歯周組織を破壊する細菌による感染症です。最近の調査では、日本人の約半数が歯周病で歯を失っていると言われており、実は非常に怖い病気なのです。
さらに、誤嚥(ごえん)による肺炎や心筋梗塞、糖尿病、早産、低体重児出産など、重大な病気との関連性も問題視されてきています。
歯周病は歯科医院だけが頑張っても治りません。患者様と歯科医院の信頼関係を築き、一緒に治療していきたいと考えております。
歯周病は加齢の影響もありますが、食事や歯磨き方法、ストレス、喫煙など生活習慣と密接な関係がありますから、これら原因を改善していくことで、より一層「予防」「完治」しやすくなります。
自覚症状が少ない初期の歯周炎から歯周病により、大切な歯を失わないために、歯周病について詳しく知ることが大切です。歯茎の腫れや出血、歯がグラグラするなどの症状が現れたら、すぐに歯科医院に相談し診てもらいましょう。
お口の中には様々な細菌がいます。その中で歯周病の原因となる細菌は10種類以上にもおよぶと言われています。
口腔環境が悪化すると、歯周病菌はネバネバした物質を分泌しながら増殖し、バイオフィルムという膜を形成します。バイオフィルム歯に強固に付着し、デンタルリンスはもちろん、歯磨きでも簡単に落とすことができません。このバイオフィルムの中の細菌が繁殖し歯周組織を攻撃するようになり、歯根膜の破壊、歯肉の後退、歯槽骨が溶けるなど歯周病を進行させます。
- 歯周病の進行
歯周病といっても、歯肉炎から重度歯周炎と区別され、対処法もそれぞれ異なります。歯周病の治療には地道な努力を継続していくしかありません。常にお口の中を清潔に保つ意識が大切です。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
PMTCは、歯科医院で専用の機器を使用して行う口腔内のクリーニングのことです。
歯周病はバイオフィルムにより、歯周ポケットなどの歯周組織でどんどん進行します。PMTCは、それら歯磨きでは落とせないバイオフィルムや歯石などを徹底的に清掃します。
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- バイオフィルムの除去
専用の器具により、歯周病の原因であるバイオフィルムを除去します。 - 自宅では行えない丁寧な清掃
歯ブラシでは行き届かない歯周ポケット内を洗浄し、歯肉の炎症を改善し、歯周病を予防します。 - 爽快感と審美性の向上
タバコ・コーヒーなど、生活習慣による歯の着色を落とします。歯面もツルツルになり、光沢感、爽快感が得られます。 - 清潔なお口になり口臭予防
口臭の原因である歯周病の予防・改善により、口臭予防につながります。
- バイオフィルムの除去
ブラッシング指導と適切な歯磨き方法
日頃の歯磨き方法の問題点を調べ、効果的に行えるブラッシング指導を行っています。その他、歯間ブラシやデンタルフロスの使用法なども説明しています。
歯科医院でしか購入できない歯ブラシや歯磨き材などもご用意しております。
◆バス法
歯と歯茎の境目に、歯ブラシの毛先を45度の角度で当てます。そのまま押し当てながら、左右に振動させる磨き方です。この方法は歯肉へのマッサージ効果が高いので、腫れが気になる方に効果的です。
◆スクラッビング法
歯ブラシを歯面に対し直角に当て、細かく振動をさせます。強く押し付けたり大きく動かしてしまうと、毛先がはねてしっかり磨けないばかりか、歯が削れてしまう原因になりますので、しっかり小刻みに効率的に磨きましょう。
生活習慣を改善しましょう
カウンセリングから、患者様の日常生活・習慣をお聞きしておりますので、その結果から歯周病を改善していくために必要なこと、止めたほうが良いことなど、改善していく内容について詳しくご説明します。
定期検診を受けましょう
歯周病は気づかないうちに進行していきます。歯がグラつくようであればかなり進行しているでしょう。
当院では、患者様に適した予防プログラムをご提案しております。定期的に歯科医院で検診していただくことで、日ごろのケアの修正点がお伝えでき、再度歯のクリーニングも行えますから、一定のレベルで歯周病を予防・改善していくことができます。
ホームケアをしっかり行いましょう
歯周病の予防と改善にホームケアはかかせませんが、独自の歯磨き方法でゴシゴシ磨いてしまうと、知覚過敏になったり歯茎を傷つけてしまったりなど、しっかり行っているつもりが、マイナスの効果となっています。
当院では、患者様に合わせた歯磨き方法をわかりやすくアドバイスしております。ご自身のお口の状態に合った歯磨き方法と歯ブラシでホームケアを行いましょう。
歯科医院の指導によるご自宅でのケア、歯科医院でのスケーリング・ルートプレーニング、定期健診などでも歯周組織に回復が見られない場合、外科的な手術で対応します。
歯周ポケット内の深部に付着した歯石やプラークは、手探りで行うスケーリング・ルートプレーニングで除去することはできません。そのため歯肉を切開した上で歯石・プラーク、破壊された歯周組織を除去し、健全な歯周組織の回復を促します。
歯周ポケット掻爬(そうは)術
歯周ポケットの深さが3~5mm程度と比較的軽症の歯周病に行います。
歯茎に麻酔をして歯周ポケット内の炎症した組織や歯石・歯垢を除去します。肉眼で確認しながら行う手術ではないので技術が必要です。
フラップ手術
歯周ポケットが6mm以上と進行した場合に行う手術です。
歯肉を切開し露出した歯根に付着したプラークや歯石の除去、歯槽骨の清掃、およびダメージを受けた歯肉などの組織を除去した後、歯肉を縫合します。
GTR法
重度の歯周病によって失った歯周組織を再生させる治療のひとつです。
破壊された歯周組織を除去し根面を清潔にします。そこにメンブレンという特殊な膜で、歯槽骨・歯根膜の回復させるスペースを作ります。歯槽骨は歯肉よりも再生速度が遅いため、このスペースを作ることによりそれぞれの組織の回復が可能となりました。
エムドゲイン
GTR法と同様に、歯周組織を再生させる治療です。
GTR法では、メンブレンによってスペースを確保していましたが、エムドゲイン法では、エムドゲイン・ゲルという薬剤を根面に塗布し、不要な歯肉の侵入を防ぐと共に、再生を促します。状態によっては、骨移植することもあります。
これら手術は失われた歯周組織を健康な状態に回復しますが、元(完璧)の状態への再生は難しく、歯を残すための手術です。このような処置を行う前に、自身の歯を大切にすることを真剣に考えましょう。
また、歯周病が広範囲にわたるなど、手術を行えない場合もあります。